スワデンタルCAD/CAM
センターの技術的特徴
Technical Features of SUWADENTAL CAD / CAM Center
スキャンの正確度
間接法による技工物製作において、印象の正確さが治療の結果を左右する、という事に関して今更論ずる余地がありません。CAD/CAMの技工においてこの印象に当たる部分が模型の「スキャン」の工程です。
スキャナーが石膏模型を計測する能力は、機種によって大きな差があります。この差はこの後の操作では取り返すことのできない、絶対的な壁になります。
スワデンタルでは世界最大のデンタルショーであるケルンIDSでの調査を行い、現行の機種の性能比較を実施、その結果最も正確度の高いデンツプライシロナ社のインイオスX5スキャナーをモデルスキャナーに採用しています。
さらにCAD/CAMによる製作作業におけるスキャン工程の性質、つまり大変重要ではあるが、正確に行うには非常に煩雑であるという点を鑑み、スキャン専門の人員を配置しています。
これによって左手にスキャナー、右手にマウスというスタイルで、スキャンの待ち時間の合間にデザインする、というこれまでの状況からデザイナーを解放し、デザインに集中できる環境を実現しました。
CAD/CAMの技工の要、デザインソフトには自由度の高いEXOCADを採用しています。
自由度が高い、とは普段の操作も容易ということもさることながら、ソフトウェアのカスタマイズがし易いという二重の意味があります。
ソフトウェアのカスタマイズとは、ただ追加のモジュールを加えることによってインプラントや3Dプリント模型など、様々な製作物のデザインが出来るようになる、という点と、最も重要なのが歯牙ライブラリの登録が非常に容易であるという事があります。
歯牙ライブラリとはデザインの基礎となる歯牙の元データーのことで、一般にこれが使いやすいものが揃っていると、そのソフトは使い易い、という評価を受けます。
これを自分でカスタマイズしなければならない理由は、CADソフトウェアはほとんどすべてが海外のメーカーが製作したもので、その歯牙ライブラリは彼らが使い易い様に、コーカソイドの形態で作られているからです。
日本人の歯牙はシャベル型切歯に代表されるようにモンゴロイド型の歯牙であり、特に前歯部をデザインする際に形態のマッチングを阻害されます。
スワデンタルでは日本人の天然歯をベースにしたオリジナルの歯牙ライブラリを作成、より歯列に適合するCAD/CAM補綴物の製作を目指しています。
自由度の高い
CADソフト
i-mes i-coreの加工機
日本の歯科技工に用いるCAM機は、高性能だが繊細な、例えればサラブレッドのような機械には向きません。日本の歯科技工所に必要とされる機械は過酷な条件下でも故障なく働き続ける、という馬車馬のようなマシーンです。
CAM機の日本での条件をこれほど過酷にしているのは保険適用のCAD/CAM冠の存在です。
CAD/CAM冠に使用するハイブリッドレジンのブロックの諸外国でのシェアは全体の1%に満たず、これを大量にそして連続で加工しなければならない、という状況は日本の歯科技工所だけのものです。そしてさらに条件を難しくしているのは、このCAD/CAM冠用ブロックの加工は実はジルコニアディスクの加工よりも難易度が高い、という事です。
難易度を高める要因の一つはこのブロックがCAMで加工する物の中では硬い方の材料であるという事で、機械本体に材料に負けない剛性が要求されます。そして収縮分の拡大がないためにより細かいバーの制御が必要となるという事、そしてこのブロックの加工は注水下での研削が主で、機械を故障から守るには水に混じった、しかも軽くて水に浮くというレジンの微粒子との不断の戦いになります。これらの点からCAD/CAM冠を正確に加工できるかという事が、実はその歯科技工所の加工機の性能と、人員の機械の習熟度を直接に反映する、といっても過言でない程です。
そして現在急速に普及している口腔内スキャナーへの対応もCAM機の選定に影響を及ぼします。それは近い将来の口腔内スキャナーの利用を考えると、手作業による未加工部分の調整は出来るだけ少なくする事が必要です。そのためには機械本体に硬い材料に負けない剛性と、より細かいバーの制御の2つの能力が必要です。
スワデンタルCAD/CAMセンターではこれらの条件に合致する機械としてドイツ連邦共和国のi-mes i-core社のミリングマシーンを使用しています。i-mes i-core社製品の馬車馬の頑丈さと2015年の1号機導入以来の運用ノウハウとで安定した稼働を実現、それでいて加工精度は現行の歯科用CAM機でも最高レベルという現在最強のミリングマシーンの一つです。
スワデンタルCAD/CAMセンターでは、使用するすべてのデバイスを自社サーバーを経由して接続するという、工業的な手法での機器運用を行っています。
これにより模型の計測を行うスキャンパート、製作物のデザインを行うデザインパート、デザインされた製作物の加工を行う加工機制御パートのそれぞれの部門の独立と、部門間でのデーターの容易なやり取りが可能となりました。
パート分けにより最も効果があったのは、デザイナーを煩雑で時間のかかるスキャン工程から解放できた点です。これによりこれまでは普通であった左手にスキャナー、右手にマウス、そして時間のかかるスキャンの合間にデザインを行う、という風景は過去のものとなりました。
現在では歯科用CADのデザインという作業の高度な専門性と、それが可能な歯科技工士の希少性が認識され始めていますが、この特殊で高度に訓練された能力を、デザインに集中できる環境を実現しました。